演奏会のたびに毎回同じ障害を持つ仲間や小さな観客のみなさんと舞台で一緒に歌って楽しんでいます  abuabua logo   
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 lastUpdate: 2005.9.11


「楽団あぶあぶあ」第25回定期演奏会

お礼の気持ちにかえて


本日はお越しくださってありがとうございました。お礼の気持ち、感謝の気持ちを託して、本劇中で読ませていただいた文章を載せさせていただいます。

劇中朗読文
みなさんこんにちは。突然ですが夢の話をさせて下さい。今朝、私は夢の中でアニメーション映画を見ていました。そのアニメはたくさんの赤ちゃん(大勢の赤ちゃん)を取り上げてきた老産科医の信(しん)先生がまた1人、新しい生命を抱き上げているシーンから始まりました。

「この子は大切な子だ。この子は愛の人になる子だよ。1,000人に2人、世界中に散らばって生まれてくる・・。人の歴史が始まって以来、ずーっと、そこ・ここで人と人をやさしくつないで生きる愛の人たち。うーん、大切な子だ。お母さん、みんなで大事に育てようなぁ・・」。助産婦(師)の雅(まさ)さんが「うん、うん」と頷きながら、お母さんの背中をさすっています。

アニメはその後、子どもたらが愛を注がれながら大きくなり、たくさんの人と出会い、いろいろな体験を重ねて、ついに世界中の人々とローマのコロッセオみたいなところで大合唱をして終わるのですが、私は10年ほど前にで地域の保険所で15年近く乳幼児の心理発達相談員として働いていました。

1,000人に2人か3人ダウン症や自閉症の人たちは生まれてきているとされます。保健所で生まれて間もないダウン症の子や2才を過ぎても言葉を話してくれない自閉症と思われる子どもたちを抱くようにして訪れてこられるお母さんたちにお会いしてきました。言葉にならないほどの深い悲しみにも似た不安で途方に暮れておられるお母さんたち・・その1人ひとりに、「この子は大切な人になるの。お母さんの優しい気持ち、たくさんの愛を受けて大事な仕事をする人にとっとなります」と、ご苦労は承知でそういいたかった。でもなかなかうまく言えませんでした。私が母たちにそういいたかったのは、子どものころ一緒に育った友だちとの思い出がたくさんあるからです。

私の人生を変えた友だちの一人、カズ子ちゃんは言葉をほとんど話せませんでした。でもいつも、私をそっと見ていてくれて、日に何度か二人で見つめ合うようにして笑いました。カズちゃんが私のことを大切に思ってくれていることに気づいて、うれしくて泣きたいような気持ちを知りったのは2年生、8才のときでした。中学時代の障害児学級の仲間たちは、アクティブでいろいろなものを作っていました。休み時間に彼らの教室に行くと、ホットケーキやプリンはいつでも私の分も作ってありました。編み物の上手な北川さんは、毎年冬になるとミトンの手袋を編んでくれ、3年生の秋にはみんなが力をあわせて丹精した大輪の菊がリヤカーにのって私の家に運ばれてきました。どれもこれもサプライズ。私が喜ぶとみんなが喜んで笑い、みんなに優しく守られていたと感じます。

私が子ども時代に会った障害を持つ同級生たちは、いろいろな発達は遅れていても心は遅れてはいませんでした。友だちとしていちぱん大切なこと、”人を思う”ということを教えてくれた大事な人たちでした。

1982年「楽団あぶあぶあ」を一緒に委に結成することになるみんなに会ったとき、私はかつての同級生に再会したような気がしました。その練習も楽しい!!1年2年かかってもなかなか上手にならないのですが、お互いが上達することを待ちあって喜んで・・楽しい。自分のことを自分よりも期待し、喜んでくれる仲間がいることがうれしかった。一音一音、音を重ねながら私たちは心を重ねる喜びを深めていきました。

楽団を結成して10年目。若い人たちと一緒に音楽をやりたくて「ミュージカルチームLOVE」を結成しました。自分たちのミュージカルを創作し始めたのです。話し言葉を持たない仲間もいるので、まなざしや仕草、身振り手振りの中から心の言葉を読み取って、少しづつ作ってゆく日々は楽しい・・相手の気持ちがわかるから楽しい。自分の気持ちがわかってもらえるからうれしい・・。

そして開いたコンサートは190回目。振り返れば結成以来四半世紀が経ち、私たちは9万人のお客さまにお会いし、喜びの心を重ねていただきました。人と人とが交わるところには必ず喜びが生まれるという膨大な体験の日々。みなさんとの交わりが私たちを育て、変えたと思います。

今、プレーヤーたちはひとつのことに気づいています。それは昨年1月、神戸で開かれた国連防災世界会議で世界161ケ国の皆さんと手をつないで共に歌い、抱き合った直後のことでした。

いつものようにプレーヤーミーティング。
「ねぇ、みんな、きいて、やっばり大切なのは愛よ」チホさん、トモコさん。
みんな大きく頷いて「うん、愛」プレーヤーたち。
「愛はひとりじゃだめなのよ。チームワークが大切なのよ」とトモコさん。
「愛のチームワーク・・」,私。
「新しいミュージカルをつくろう。愛のチームワークを伝える新しいミュージカル!」とトモコさん。そしてプレーヤーたらがそれぞれに「そうそう」「うんうん」。
「どんなミュージカルをつくればいいの?」私。
「感動のミュージカルのことよ」トモコさん。
「感動ってどんなこと?」と私。
「うれし涙が出るミュージカルのことよ」とトモコさん。
ゾレーヤーたちはそれぞれに「うれし涙、うれし涙」。
「うれし涙の出る感動か・・。どんなときにそんな感度をするの」と私。
「・・・」(沈黙)
「だれかにありがとーって思ったときにカンドウする」とトシユキさん。
「私のこと大切にしてくれている人がいるってわかったとき・・ありがとう・・」とトモエさん。


自分を大切にしてくれる人に出会い続ける、自分の存在の大切さを感じ、安心し、とても自由な気持ちが私たちの中にあります。お互いを傷つけることなく、お互いのしあわせを願いあう気持ち・・。
この気持ち、思いを託してこれからも力をあわせて作品を作って世界中の皆さんに伝えていきたいと思います。そして私たちを守り育ててくださった人たち、とりわけずいぶん苦労をかけた、年老いた母たちに誇りに思っていただけたら・・。



追記:
私たちは今、長い活動を続けてきて「愛のチームワーク」がとても大切だと感じています。このみんなで見つけた大切なもの「愛のチームワーク」を、次の世代や世界の人たちに伝えていく作品をつたり、小さな活動を続けていきたいと思います。

楽団アブアブア&ミュージカルチームLOVEを代表して
ひがしの ようこ



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