演奏会のたびに毎回同じ障害を持つ仲間や小さな観客のみなさんと舞台で一緒に歌って楽しんでいます  abuabua logo  English Version 
  あぶあぶあ/Loveについて > 「ミュージカルチームLove」制作とけいこ   


 lastUpdate: 2001.08.20


制作とけいこ

 


“僕は生まれたー”のアリアが歌われるシーン

話したいこと、伝えたいことは何かをさがす

 「LOVE」を始めようとしたとき、あぶあぶあのメンバーの中にはあのコンサートの時にみんなが打ちとけて、笑ってしゃべって歌って喜んだ嬉しさが、心のなかにありました。だから上手に踊ること、上手に歌うことは二の次でした。コンサートで分かち合った嬉しさは、集まったみんながそれぞれに「よろこぴを持ち寄り、出し合った」ことにありました。
 ミュージカルのメンバーひとりひとりがあぶあぶあの音楽に出会ってごく自然に望んだことでした。




 そこで「LOVE」ではまず、「乗りのいい曲で上手に踊ること」「いい声で上手に歌うこと」より今そこで出会ってみんなが心の奥で大事にしていること、気持ちを出し合うことを大事に始めました。自分のことを話し、他の人に伝えようとしていることを感じている時間がなにより大事でした。もとより、知的障害があり、言語障害もきつい人が多いなか、メンバーは音声による言葉ばかりでなく、動き、行勤、顔ばかりでなく、体全体から表そうとしている気持ちや感じを受け止める時間をもつことになったのです。相手の気持ちがわかりにくいとき、テンポの乗りがいい曲をかけると、体の中で弾んで、目の前の人のことにじっくり想いを馳せる気持ちが吹っ飛んでしまいがちです。ここではいつも風のようにしなやかなメロディを彼らの様子に添って、殆ど即興で造り、弾いてもらいながら(ピアノ、キーポードで水本誠さん作曲、演奏)長い時間を語らいに変えていきました。




ことばをつむいで歌詞に

 やっと言えた「オーッ」や「ウーッ」という唸り声だけのようなことばに、全員がどよめき、感勤して気持ちをききとり、受け取っていきました。
 自閉症の男の子がいきなり立ち上がって「ボクは生まれた!」「ワーッ」「どこで?」「わかりません」「ワーッ」と、別の女の子が「私も生まれました」ピアノが流れ、すべりこんできました。「ポクは生まれた」「私は生まれた」シンプルなメロディにのってちょっと口ずさんでみます。みんなの表情がうなずきに変わるまで、私は口ずさんでピアノが添って変わっていきます。みんながほっとしたところでみんなも口々に歌いだして、「ボクは生まれた一、私は生まれた」のミュージカル「LOVE」の始めの部分のアリアが出来上がりました。
 こんなふうにして、何カ月もかけて、ことぱ詞を紡ぎながら歌詞をつくっています。





「さあ、踊ろう」 踊りが生まれるとき

 相手と言葉が通じ始めると、自然に体が弾んできます。ここで初めて「踊ろうか?」となります。
   「LOVE」の中ではまず、お互いを確認しあってから踊りに入っていきます。音楽好きだからといって、いきなりディスコで踊るようにあたりかまわずはしゃいで踊ってしまうと、最後までチームの一員になるきっかけを失うことになりがちです。


さらに伝えたいものがはっきりするにつれて、じっくり話し合って踊りをつくること

 お互いが通じ合ってきますと、いっしょにいるだけで伝わるものがどんどん増えてきます。
 歌詞はことば少なめながら、一語にこめられた内容、パワーは強められて深いものになります。踊りもさあ、踊ろう!という気分から、どんな「感じ」の踊りにしたいか、というような気運が生まれてきます。
 言語障害は、あるようでなくなっていって話し合い、表現の出会いが続きます。口頭言語だけに頼ると何を言っているのかわからないのですが、すべてのその人の表現をことぱとして受け止める自由闊達な会話が可能になり、「伝えたいこと、伝えたい仲間がいる」ことがいよいよ表現への努カを高め、深めていきます。





制作過程・制作風景


やがて踊り終えたY君を囲んで皆がY君の名前をコーラスにのせながらひとつの形にしていきました。


相談をして思いきり飛び出すシーンを「青春」のテーマにして作っているところです。


あぶあぶあのメンバーたちがリーダー役として考えをまとめては打合わせに熱中。 しばしば私に、若いメンバーの特徴をくみとったアイデアを語ってくれます。


写真中央Y君は自閉症・チックなどがでてなかなかみんなと一緒に動けないのですが、メンバーは「Y君がLOVE仲間のみんなと一緒にやりたい」という気持ちを知っています。みんながY君を囲んでY君の踊りを見ているところからY君と共に踊るダンスが生まれました。





今までひとりひとりちがった踊りが主流でしたが、みんなでひとつにまとまった形の踊りを考え始めています。
ダウン症などのための言語障害はありますが、気持ちが通じるという安心があり、話し合いはスムーズです。実際に踊ることと、実際に踊る前で指でイメージをつくって踊る形を打ち合わせる作業を交互に組み合わせます。体が離れずに一体となって踊る感じや具体的な流れがしっくりとなじみます。









個人のイメージを出し合って自由に表現しあうことから、やがてつながってひとつとなっていく気持ちが形になっていきます。あなたが私であり、私があなたであって一体となっていくことのここちよさ。


ストーリーづくり

 ストーリーづくりは、10年間計画です。みんなで歌をつくり、踊りを生みだす中で、自然な流れができ始めたところですが、無理にこしらえず、ゆっくりとつくっていく予定です。しばしばお話づくりのトレーニングをしているにとどめています。



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