演奏会のたびに毎回同じ障害を持つ仲間や小さな観客のみなさんと舞台で一緒に歌って楽しんでいます  abuabua logo  English Version 
  あぶあぶあ/Loveについて > はじめに   


 lastUpdate: 2001.12.23


はじめに

 

photo:ミュージカル「LOVE」より:後幕「やさしさを・・・」
ミュージカル「LOVE」より:後幕「やさしさを・・・」

 この20年間で、障害をもつ人たちの文化活勤や芸術的な活勤が、ずいぶん盛んになってきました。とりわけ、余暇活勤としての文化活勤は、ほとんど日常的になり、障害をもたない人たちとの市民的交流も定着しつつあります。「楽団あぶあぶあ」も、そんな時代のぬくもりの中で、1982年の春、神戸市で誕生しました。当時高等養護学校を卒業したばかりの人、まだ在籍している6人と、音楽好きの障害をもたない2人の女性が加わってのスタートでした。私もこの結成時の仲間の一人です。メンバーのほとんどは、知的障害をもつグウン症や自閉傾向のある人たち。音楽が、学校を卒業してからの長い人生の楽しみになれぱと思っての楽団結成でした。
 メンバーは順々に学校を卒業し、職場を得て、社会人となっていきました。結成して13年、この間には体調をこわしたり、不況下で失業して、授産施設に移った人もありましたが、現在は、全員職場を得て日々働く平均年齢30歳をこえた、誠実な勤労青年たちです。仕事を終えてから夜、そして休日、それぞれに給料で購入した楽器を持ち寄り、小遺いを出しあってスタジオ(おけいこば)を借りて、練習を楽しんでいます。金額の多少の値打ちを理解せずとも、働いて、趣味としての音楽活勤を維持するおもしろさは、毎日を充実させてくれています。けいこはコツコツと、ただただ膨大な努力の積み重ねですが、音を合わせ、重ねることの楽しさが、その努力を支えてきました。やがて「音を重ねることは、心を重ねるうれしさ」となっていきました。そのうれしさを演奏に託したあぶあぶあのコンサートは、技術的には精度の高いものとは成り得ていませんが、多くの集まり聴き入る人々をあたためるものになっています。これまでに2万5,000入余りの人々が共に彼らの演奏会を楽しみました。
 メンバーにとっては、余暇活勤以外の何物でもない楽団活動ながら、13年の年月をくぐり抜け、そのハーモニーは深いメッセージをもつものとなってきています。チャリティコンサートなどで、昔楽ボランティアとしても活曜するなか、この秋で100回目の演奏会を数えることになります。姉妹グループも10組を超えました。

photo:楽団あぶあぶあコンサート
楽団あぶあぶあコンサート

 3年前、結成10周年記念演奏会のとき、作曲家の水本誠さんは「彼らの心からあぶれ出るメッセージは、人々をあたためていく。そんな彼らのメッセージと技術にぴったりと添う曲をつくりたい」と言って「あぶあぶあからの風」をはじめ、次々とオリジナル曲をつくって下さっています。
 演奏活動によって、人々をあたためるメッセージを表現でき始めたことから、ごく自然な社会参加が実現し、多くの人々との交流、さらには音楽ポランティア活動などを通じて社会の一員として社会貢献を果たせていると思います。
 1992年1月に、ダウン症など同じような障害をもつ後輩グループ「あぶちゃんず」といっしょになって、若い10代のダウン症や自閉症の青少年たちとミュージカルをつくり始めました。全編オリジナルで、総勢35名の知的傷害をもつメンバーが体ごと語り合う言棄を歌詞にし、作曲家(水本誠)が彼らに添いながら、彼らの納得するメロディをつくり出し、その曲から踊りやストーリーを編みはじめたのです。彼らにとって、ミュージカルづくりは、これまでの人生に育てられた能力と人格をもとにした「自己実現としてのひとつの形」です。この彼らの自己実現のテーマが「うれしく生きる」に集約されていくのを目の当たりにし、その表現を深める工夫をする彼らに接するとき、芸術家を彷彿とさせます。このミュージカルチームは、ミュージカル「LOVE」という名前をつけて、10年計画で全編の完成をめざそうとしています。10年の間には日本各地や世界各地の同じテーマをもち、同じような資質をもつ人々とつながり、壮大なミュージカルへと発展していく可能性をもっています。彼らの表現のパワーと連動性を知って、そう思われるのです。
 これらの知的障害をもつ人たちの音楽活動を通して、文化・芸術的活動のもつ、全般の特色を考えてみますと、以下の特徴が浮かび上がってきます。

  1. 余暇活勤による個人的な生活の充実
  2. 市民的交流を果たしての社会参加
  3. 自分を活かしてのボランティア活動の実現
  4. 自らのメッセージを託した表現としての自己実現と芸術化への可能性


photo:ミュージカル「LOVE」より
ミュージカル「LOVE」より

 すでに伝統芸能や絵画、陶芸、手芸関連の分野では全国各地の施設でも、模索や積極的実践がなされています。あわせて、この創造的文化・芸術分野の充実を祈りたく思います。
 なお、この小冊子のなかで、楽団あぶあぶあとミュージカル「LOVE」の練習や制作の実践方法を紹介させていただき、少しでも参考としていただけるものがあれば、幸いです。


楽団あぶあぶあ&ミュージカルチームLove
ひがしのようこ

もどる